【山形・湯殿山神社】戌の日ってなに?

日本にはいろんな習慣があるものです。
安産祈願にも「戌の日参り」という習慣があり、妊娠5ヶ月目の戌の日に神社で安産祈祷をしてもらいます。戌の日は毎月、日にちが決まっています。犬がたくさん子供を産むことにあやかり、腹帯と一緒に祈祷するというのが概要のようです。
初耳の私は、「なぜに犬?」「なぜ神主は犬の力を代替できるのか?」など屁理屈なハテナをよぎらせましたが、初い産の夫婦は社会的な祈りを有難く戴くイベントとしてシンプルな感受性で受けに行きました。
願いは二つ、第一子の成長と妻の無事出産!
近所に裕福そうな大きな神社があるのですが、我々は明治時代の歴史的建造物の横に構えている小さな神社を選びました。
着いた瞬間、ピンポイントな看板に迎えられました。訪ねた4/19は戌の日かつ大安のダブルいい日らしい。ご利益ポイント二倍!
そして神社に祀られている神の化神の牛が鎮座!化身が牛というファンタジーも気になりますが、ご利益を求めた市民に撫でられてツートーンになったお姿も目を惹きますね。人は面積が広くて盛り上がった所を触りたがる習性があるようです。
牛の像は通りからも見えるので知っていましたが、社殿を見てびっくり。小規模とはいえ立派な門構えでした。
気持ちが正されます。なんとなく有り難みが増量します。
社務所の受付には平安時代のような雰囲気のファションに身を包んだ女性が鎮座。安産祈願をお願いしたところ料金は7,000円でした。
神殿に移動すると、受付の中にいた40代前半くらいのツーブロックヘアの男性が黒い長い烏帽子をかぶっていて、受付の女性と二人でスタンバっていました。神主と巫女のようです。神主の祈祷は聞き慣れないイントネーションが朗々と続き、ハーフタイムショーに巫女の舞が奉納されます。動きの端々に丁寧さとキレがあり見ていて飽きません。その間我々は黙々と見届けます。神妙な時間が20分ほど過ぎ儀式が終わりました。

現代生活で20分も何もしないで他人のペースで時間を過ごすというのもなかなかないのかもしれません。また、日頃の生活で神も仏も明確に意識しない私にとっては不思議な時間となりました。初めは形式的な祈りの時間として過ごしていましたが、巫女の舞の所作を見ていて祈祷することの印象が変わっていきました。神とか仏とか形のないものに捧げるという行為に尊さを見たのです。
きっと無形の対象に時間を割いて、労力を掛けて、希望に価値を見出だすのは人間だけなのでしょう。人間以外の動物は祈らないとどこかで聞いたことがあります。それを実感した時間でした。無駄なものに時間を割ける余裕が人間にはある、それが尊さと言えるのかもしれません。
はい!神聖タイムに脳内がふやふやになった後に、ご祭神の化身をカジュアルにイラスト化した絵馬に願い事を書いて終わりました。
これは絵馬でなく絵牛ですね。どっちでもいいですね。
帰りにお土産袋をもらいました。初祈祷で価値基準が定まっていない中やや高いと感じた7,000円でしたが、B4サイズほどの紙袋で手土産をもらうと得した気になる庶民感情。飴であやされる子供と一緒です。袋の中には帯、お守りなどいろいろ入ってました。あと、豆のお菓子が二袋。妊婦に必要な栄養が豆に入っているのでしょうか?わからないので妊婦でない方がその日の内に平らげました。でん六豆はたまに食べると止まりません。


余談ですが、妊娠した時から我々はお腹の子を「もち」と呼んでいます。妻の好きな食べ物であり愛嬌を感じる言葉なので、便宜的にどころかあだ名のように定着しています。な、なんと今回訪ねた神社に、もちがいたのです。

湯殿山神社 主祭神

大名持神 おおなもちのかみ

奇遇ですねー。訪ねた神社に祀られた神様の一人でした。神社には日本神話の登場人物から戦乱の武将、そして名もなき戦没者までいろんなパターンで神が祀られますが、こちらの神三者は私の不勉強でどなたも存じ上げませんでした。ですが、大名もちさんには何か縁を感じます。
縁ついでに、Yahooで調べてみました。

「大名持神、別の名を大国主」

なんと、日本の国造りの神でした!
我が子は大物になりそうです。

ちなみに大国主をGoogle画伯に尋ねると、現代のフィルターを通してこんなお姿が拝めました。
終わりに一言
特段付き合いのない初めて会う人に祈ってもらってもなあ、と正直なところ通過儀礼的に感じていましたが、行って良かったです。ああいう社会的な存在に社会的習慣をしてもらうと、我々夫婦がそんな社会的なステージにいるのだなと実感させられる体験になりました。二人共、親になることをより実感できました。


つれづれつづれ

30代サラリーマンが記録する家族の日常。

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